なぁ、アンタ。 ギースってどんな人間だったんだ? ずっと何か言いたげだった、その若い男は俺の目を見てそう尋ねた。 その表情には覚えがあった。 点けたばかりの煙草をひと吸いしてから口を開く。 強くて、おっかなくて、完璧な人だった。 あの方一人で全てが解決できた。 それでもなお、俺や俺以外にそれぞれ相応しい役割を与えるような人だった。 男は黙って聴いていた。 微動だにしない、まっすぐで、探るような見極めるような、その視線が当時と少し異なることに改めて気づく。 「くすぐってぇな」 思わず口に出したら、訝しむ顔が見えた。 「は、気にすんな。俺もお前も大人になったってことだよ」 小さく笑って吸いかけの煙草を消すと、棍をゆっくりと握り直した。 相手も察したのか、構えに入る。 その時。 「一つ言っていいか?」 男は俺が目を合わせたのを確認し、一拍置いて言い放つ。 「あの時のようにはやられないからな!」 グラス越しに俺の顔色の変化がバレたかどうか。 そのガキみたいな眼差しに、口の端を上げて 「おう」 真正面から応じてやった。 -Fin.-