エピローグ

 帰る道々、あの男に遭った。

 ひどく困惑した表情で、納得はいかない、だが、納得せざるを得ない、という顔をしていた。

 俺は足を引きずりながら、速度を緩めず、変わらぬペースでタワーに向かう。使い物にならなくなったエモノは、そのまま、あの橋の下に捨ててきちまった。俺の代わりに。

 俺は、やらなきゃいけないことがあるから。

 やらなきゃいけないことが待っているから。

 あの男と、すれ違う瞬間。ヤツは足を止めた。俺も、足を動かすのをやめた。ヤツはじっと、俺を見つめて、何か言いたげに、口の端を少し動かした。言わなければいけない、そして、尋きたくてたまらない、そう、言いたげに。

 聞きたくはなかったから。

 暫し、俺は黙ってヤツを見、そして、口を開いた。

「あの人は、笑っていただろう」

それは問いではない。確信。

「ああ」

ヤツはそれだけ言うと、帽子のつばを少しだけ下げた。

「俺も、お前も、結局、あの人を超えられないのさ」

吐き捨てるように、そう言ってやった。

 中途半端な感情に、生かされるようなあの人じゃない。

 だから俺も、覚悟したんだ。

 笑いながら。

 あの人と同じように――。

-Fin.-

 いきなりエピローグって言うのもなんですが。残された2人の対照的な立場とか。ギースという男を理解したビリーと、理解できなかったテリーと。

 昔、作った本で、ビリーがギースに対し、「死に場所くらいは自分で選びたいと、そう言いたかったんだろうか」と問うシーンがあったんですが、私そのとき、「この答えは不正解。それは解っている。でも、今の私には正解が見つからない」という状態だったんです。

 今なら、はっきりと、その答えを口に出来る。

 そして、ビリーなら、それを理解するはずだ、と。そう思って、書いてみました。

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