ギース・ハワードの花嫁(21)-棘-

それは、小さな小さな、トゲ――。




 きっかけは、誕生日。

 上機嫌のビリー、不機嫌なギース。良かれと思っていろいろと提案するビリーに、元々機嫌が悪そうだったギースの顔が、更に曇っていきます。

 以前に100の質問か何かで申し上げましたが、ウチのギースは己の誕生日が嫌いです。歳をとるという以上に、己がその日に「産まれた」ということを考えたくないのです。クリスマスだって、バレンタインだって、本来好きなわけじゃない。むしろ煩わしささえ感じるイベントなのに。それ以上に、誕生日が気に食わない。

 誕生という事象が、己の意思ではどうすることも出来ない「もっとも受身」のものであるという意識。ヒトが産まれるということ、この世に生を「受ける」ということ。「産み落とされた」ということ。独りで生きてきた、独りで昇り詰めた、それを良くも悪くも誇りとするギースには、素直に受け止められないものであるのかもしれません。

 けれど、頑なに拒めば拒むほど、ビリーから示される「あなたも、みんなと同じ」という「アタリマエ」のことにイライラを募らせていく……。

 ピリピリしてカリカリして、無意識のうちに目の前の「鬱陶しい存在」に、トゲを刺す。ちくりちくりと。ちょっとずつ感じ始めた痛みに、アレだけ上機嫌だったビリーの顔も、だんだん曇り始めて――。

 でも、実際に、トゲが刺さっていたのは――ねぇ?ギース様?

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